昭和ノスタルジー博物館

あの頃の部屋の明かり 昭和の照明

Tags: 昭和, 照明, 暮らし, 電化製品

昭和の部屋を照らした光の記憶

私たちの暮らしの中で、明かりは単に暗闇を照らすだけのものではなく、日々の営みや家族の温もりを感じさせる大切な存在でした。昭和の時代、家庭の部屋を照らしていた照明の光景を、懐かしい気持ちで思い出してみましょう。

白熱灯の温かいオレンジ色の光

まず思い浮かべるのは、あの白熱灯の光ではないでしょうか。スイッチを入れた瞬間にポッと灯る、少しオレンジがかった温かい光。裸電球が天井からぶら下がっているシンプルなものや、傘のついたものなど、形は様々でしたが、その光の色はどこかホッとさせてくれる優しいものでした。

特に、夕食時に家族が集まる茶の間や、子供が宿題をしていた勉強机の上など、白熱灯の光の下にはいつも人の気配と温かい時間が流れていたように感じます。電球にそっと触れると、熱を帯びているのが分かりました。時には切れてしまうこともあり、予備の電球を交換した記憶もおありかもしれません。ワット数によって明るさが違い、部屋の広さや用途に合わせて選んでいたものです。壁のスイッチをパチンと上げたり、紐を引いてオンオフを切り替えたりするあの感触も、記憶の片隅に残っているのではないでしょうか。

蛍光灯の登場と広がり

昭和の中頃から後半にかけて、蛍光灯が一般家庭にも普及していきました。白熱灯に比べて明るく、消費電力も少ないという実用性から、台所や勉強部屋、居間など、次第に多くの部屋で使われるようになりました。

蛍光灯のスイッチを入れると、最初はチカチカと瞬き、少し遅れて「ブーン」という安定器の音と共に、あたりを均一に照らす少し青白い光が灯ります。白熱灯の光とはまた違う、どこかキリッとした、現代的な明るさでした。丸形や直管形などがあり、部屋の広さや雰囲気に合わせて選ばれました。蛍光灯の下で新聞を読んだり、手仕事に励んだりした方もいらっしゃるでしょう。あの安定器の音や、交換する時にソケットに差し込む感触も、今となっては懐かしい思い出です。

明かりが作り出す風景

昭和の明かりは、それぞれの部屋に独特の雰囲気を作り出していました。茶の間で白熱灯の温かい光の下、ちゃぶ台を囲んで家族が笑い合う姿。勉強部屋で蛍光灯の明るい光の下、真剣な顔で机に向かう子供の姿。それぞれの明かりには、当時の人々の暮らしや営みが宿っていたように感じられます。

現代では、様々な種類の照明器具やLEDが登場し、光の色や明るさを自在に変えられるようになりました。しかし、昭和の時代にそれぞれの部屋を照らしていたあの白熱灯や蛍光灯の光は、便利さだけではない、記憶に残る温もりや生活の風景を私たちに教えてくれているのかもしれません。あの頃の部屋の明かりを思い出すたびに、心の中に温かい光が灯るような気がいたします。